AI時代のプログラミング・アルゴリズム競技が抱える危機
公表人数は発生率ではない
2026年8月30日、2026年Baidu Starプログラミング大会の第1ラウンドに関するX投稿が、作弊49件と違反一覧を公開した。投稿本文は、今年の第1陣が作弊49人、違反63人で、2年前は作弊または違反に関係した人が30人だったと述べている。画像で確認できるのは作弊49行と違反57行で、違反表は1–25行と32–63行を示し、26–31行は画像にない。これは事件の手がかりであって、完全に検証されたデータセットではない。原投稿
画像で見える106行は87校に分散している。作弊表は45校、違反表は50校で、多くの学校は1回しか登場しない。上位3校の合計は作弊で6/49、違反で8/57にすぎず、少数校だけに集中した構図には見えない。
中学校、高校、大学、職業系の学校が同じ表にある。学校ごとの参加者数、試験環境、違反の種類が分からない以上、掲載件数を学校の作弊率とは呼べない。
ルールは「ChatGPT禁止」から出所管理へ
Codeforcesの2024年規則は、問題文の直接翻訳や小さな構文補完を認める一方、AIに核心アルゴリズムを作らせたり、誤答の修正を依頼したりすることを禁止している。コードの類似性や、コードが大会前に公開されていたかどうかも調査材料になる。CodeforcesのAI規則
AtCoderは最近、AGCにも生成AI規則を広げ、AIによるコード補完と言語変換を禁止し、検索結果に出るAI要約の意図的な利用も制限した。理由は明確で、補完を一部だけ許可すると、強い提案が境界を越えたかを監視しにくいからだ。AtCoderの規則変更
危機の一つは測定である。参加者が一人で解いているのか、人間とツールが共同で解いているのか、遠隔モデルを含むチームなのかを、同じ順位表だけでは区別できない。「AIを使っていない」という申告は監査記録にならない。
AIは数年前に旧基準を越えた
Google DeepMindは2022年、AlphaCodeがCodeforcesの10大会でおよそ人間の中央値の水準に達したと報告した。多数の候補コードを生成し、実行結果で絞り込み、少数の候補を提出する仕組みであり、学生が一つの解答を最初から書く過程とは違う。DeepMindのAlphaCode紹介
2023年のAlphaCode 2技術報告では、10回以内に解けた問題の割合が43%で、初代の25%から上昇し、平均で参加者の85%を上回ると推定された。これは全問題を理解したという意味ではないが、高い順位が無支援の人間推論を自動的に証明するという前提は崩れる。AlphaCode 2技術報告
公開問題が学習データに入るベンチマーク汚染もある。LiveCodeBenchはCodeforces、AtCoder、LeetCodeの新しい問題を継続的に集め、コード生成だけでなく実行、自己修復、テスト出力予測も測る。v6には2025年4月までに公開された1055問が記載され、古いベンチマークの高得点が新しい問題に移るとは限らないことも示している。LiveCodeBenchリポジトリ 研究論文
競技を三つのモードに分ける
少なくとも、純粋な人間のみ、AI協働、学習用の三つに分けるべきだ。人間のみの試験には管理された端末、許可機能の一覧、再現可能なログ、コード類似性の再審査、異議申立てが必要になる。AI協働ではモデル、バージョン、プロンプト、生成コード、修正、テストを記録し、最終コードだけでなく説明と検証も採点する。
2026年の中国全国大学生数学建模競技の試行規定は、大規模言語モデル、生成AI、コード支援、AIエージェントを明示的に対象にした。AI利用はチャット画面を開くことだけではない。数学建模競技のAI規定
プログラミング競技は終わらない。終わるべきなのは、1回のオンライン試験と1本の順位表だけで学生の能力全体を説明できるという考え方だ。次の競技は条件と過程を公開し、人間のみとAI協働を分け、敵対的テストに耐える説明を評価する必要がある。